■退任までの準備期間は最低でも10年必要
事業承継を行う場合、社長の退任年齢はいくつくらいかイメージしていますか?
一般的には、75歳くらいと言われています。
ところが、退任の1〜2年前になって「どうしようか…」と考え始めることも多いのが現状です。
でも実際、それでは遅すぎます。
なぜなら、事業承継は
・後継者をどうするか?
・バイアウト(会社の売却)できる先はあるか?
・廃業する場合は、従業員の身の振り方をどうするのか?
といったように、考えるべきことが山積みだからです。
また、75歳を前にして亡くなってしまうことも、少なくはありません。
そうなっては、会社が混乱してしまいます。
さらに、年齢を重ねるごとに、認知機能が低下するリスクがあります。
重大な決断は、心身ともに充実している間に行わなければならないのです。
退任までの準備期間は、最低でも10年確保することを考えておきましょう。
後継者がいるかどうかによっても、対策は変わってきます。
後継者がいないからと言って、すぐにバイアウトできるものでもありません。
ですから、事業承継の準備を早くから行っておく必要があります。
先々どうしていきたいのか、早いうちに決めておくことが重要です。
■事業承継では株の評価額を下げるだけがいいわけではない
事業承継において、「株価対策」は重要なポイントのひとつです。
なかには、「株価対策は、評価額を下げること」と思い込み、自社株の評価を下げる
ことだけを考える社⻑もいます。
でも、一般的に言われている「株価対策=評価額を下げること」と考えるのは、あ
まり得策ではありません。
事業承継に向けて、株価を上げることが必要な場合もあるのです。
なぜなら、かならずお子様などに継がせられるわけではないため、バイアウトを行うことも選択肢に、両面で考えておく必要があるからです。
つまり、誰も継いでくれる人がいないと決まったときには、バイアウトする方向で
会社の財務を改善しておかなければいけません。
バイアウトを行うのであれば、
1.株価が高いままで、多くの企業がほしいと思う会社にしておく
2.財務状況をよくしたり、従業員の地力を上げたりする取り組みを行っておく
といった対策が欠かせません。
状況によっては、株価以上の価値を感じさせる会社にしておくことも大切です。
そのような意味でも、事業承継には早い段階で取り組んでおかなければならないの
です。
「タイミングが遅すぎた」と後悔しないためにも、10年かかることを目安に準備を始めましょう。
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