■将来の大きな足かせになる資産を認識しましょう
「会社が保有する資産や財務状態はわかっているけれど、個人資産を把握してい
ない…」
こういった社⻑が多く見られます。
たとえば、自社株式は、会社が利益をあげればあげるほど評価額が上がる「資産」です。
でも、上場していない自社株式は、非常に換金しにくいもの。
相続が発生したあとで、ご家族が相続税に苦慮することも少なくありません。
また、会社の資金状況が厳しいとき、社⻑自身のお財布から補填することもあります。
これは「貸付金」という金銭債権であり、社⻑の資産そのものです。
そして、これが返済されず、そのままになっているケースが多々見られます。
相続が発生したとき、会社の財務状況が芳しくなければ、資金化できないのに相続
税の計算対象となってしまうでしょう。
また、社長が元気なうちに会社から返済してもらえれば、ほしかったものを買う、
ご家族とおいしいものを食べる、旅行へ行くといった有効な使い方ができるはずです。
このような、目に見えにくい「資産の塊」を認識せずに、「わたしには、資産なんて
ないから」と勘違いしている社長も少なくありません。
これが、老後の資金繰りや将来の相続において、大きな足かせになり得るのです。
この重要なことを後回しにしないためにも、ご自身の「資産」に対する意識をもっと高めましょう。
■会社と個人のお金を切り分ける
人生を賭けて会社の発展に尽力するのが、経営者の役割です。
ですから、会社を大事に思うのは当然のことでしょう。
ただ、あまりにも大事に思いすぎて、会社に個人の財布からお金を貸したあげく、
個人口座がからっぽ…という社長もいます。
なかには、奥様の預金にまで手をつけてしまう社⻑さんもいるようです。
会社がピンチを乗り越えて、成長軌道に乗ればいいのですが、
返せなかったときには大変なことになってしまいます。
あとでお金を返せれば問題ありませんが、会社が潰れてしまったら、
・ 自分の個人資産もない
・ 家族の信用も失う
といったように、最悪の事態に陥ることになります。
会社が社⻑から借りたお金は銀行融資とは異なり、口座から自動返済されるもので
はありません。
会社のお金と個人のお金をきちんと切り分けなければ、大変なことになってしまう
のです。
個人の資産を把握することやお金の管理をしっかり行うことは、
ご自身の将来や会社の明暗に大きく関わります。
より安心でしあわせな人生のためにも、いまのうちから見直すことが得策です。
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