■次の人生のために退職金を受け取る選択肢もある
退職金は、本来人生においてもとても大きなものです。
ところが、さまざまな社長と話す際に退職金をどう考えているか尋ねてみると、
「考えたこともない」という人が多数います。
年齢によっては考えているのではないかと思っても、70〜80代の社長でさえ、
「俺は死ぬまで社長のままでいる。退職金は、亡くなったあと家族に渡ればいい」
と考えている人が多いのです。
もしかすると、自分事になっていないのかもしれません。
もちろん、「生涯現役を貫きたい」と考えて、
社長のまま人生を終えるのも、ひとつの生き方です。
一方で、たとえば75歳で会社を後継者に譲ったり、
M&Aに出したりして会社を勇退し、
その後の人生を楽しむのもひとつの生き方ではないでしょうか。
このようなときに活きてくるのが、役員退職金でしょう。
あなたがもし、先々の勇退を考えたことがなかったなら、
・ やり残したことはないか?
・ 人生を目一杯楽しんだか?
といった視点を持ち、退職金の要否を考えてほしいのです。
社長として会社を守ってきた自分を支えてくれた家族のために、
退職金を使う選択肢もあります。
仕事が好きなのは素晴らしいことです。
でも、仕事があっての人生ではなく、
人生の一部として仕事があるのではないでしょうか。
満足のいく仕事を成し遂げたら、そこでいったん区切りをつけ、
ご褒美として退職金を受け取ったうえで、
次の人生を考えることも許されるでしょう。
65歳、70歳、75歳など、何歳で退職金を受け取ったとしても、
その後の人生を大きく左右する非常に重要なお金です。
社長のまま人生を終えて、残された家族に退職金が渡れば、
たしかに奥様やお子様のためにはなります。
でも、ご自身で使える機会はなくなってしまうのです。
せっかくなら、生きているうちに受け取って、
ご自身の余生に活かしてみるのも素敵なことですよね。
もちろん、会社経営を揺るがすほどのお金をもらうことは推奨しません。
事前に退職金をどの程度もらうのかを想定しながら、
会社運営をしていくべきです。
■勇退に向けたゴールを決める
退職すること(退職金をもらうこと)は、会社をやめることであり、
人生における大きな区切りとなるイベントです。
ご自身がやめるには、後継者にしてもM&Aで別の会社に譲るにしても、
誰かに経営を代わってもらう必要があります。
会社を畳むという選択肢もありますね。
いずれにしても、ゴールを決めなければ勇退することはできません。
さらに、会社が退職金を出すことで、
債務超過に陥る可能性があるようでは、本末転倒です。
そうならないよう、
ご自身が十分な退職金をもらえる財務体質にしておかなくてはいけません。
退職金は、人生の節目にもらう、今後の人生にとって重要なお金です。
まずは、経営者自身がこの重要性を認識しましょう。
それによって、後々大きな差が出てくるのです。
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